船山(ふなやま)は、飛騨高地の中央に位置する岐阜県高山市と下呂市にまたがる標高1,479 mの山。舟山とも書く。
概要
位山、川上岳と船山を合わせて位山三山、飛騨三霊山と呼ばれている。西側の位山との鞍部の位山峠には東山古道が通っていた。船山を含む周辺の山域は、岐阜県の位山舟山県立自然公園の指定を受けている。ぎふ百山の一つに選定されている。山頂部には、モミ、ネズコ、イチイなどの原生林があり、船山山頂花木園が整備されている。山頂の東側には船山神社がある。山頂部にはテレビ局や電気通信事業者の高山市方面への電波通信施設が乱立する。山麓の傾斜地にある開拓地では、高冷地の気候を生かしてナシとリンゴ、モモなどが栽培されている。
東山腹には、ひだ舟山スノーリゾートアルコピアのスキー場が開設され、夏には「アルコピアひまわり園」の観光スポットとなっていた。しかし、利用客の落ち込みから、ひだ舟山スノーリゾートアルコピアは2023年(令和5年)3月12日に廃止された。廃止後も旧スキー場のゲレンデをヒマワリ畑にするイベントは継続している。旧スキー場についてはキャンプ場などを開設する計画がある。
山名の由来
昔は「久々濃山」と呼ばれていた。『宮殿縁起』では、「雲の波を分け船を止めたことから船山と呼ばれた」とされている。船を逆さに伏せたような山容であることが山名の由来であるとする説もある。飛騨富士(ひだふじ)の異称をもつ。
登山道
岐阜県道98号宮萩原線沿いの位山峠及びアララギ湖から登山道が開設されている。位山峠から山頂へ至る登山道の下部にはブナの原生林があり、位山峠から登るコースは「光と風の道」と名付けられている岐阜大学の演習林に沿ったコース。積雪期には、ひだ舟山スノーリゾートアルコピアからリフトを利用して雪山登山が行われることもあり、山頂部には北アルプスを望む展望台があり、東屋が設置されている。山頂部からは白山、御嶽山、位山、川上岳などを望むことができる。
地理
高山市の南側にあり、飛騨高地で独立峰のように位置する。山頂部は東西に長い。乗鞍岳から西に延びる位山分水嶺に属する。
周辺の主な山
山頂の東2.9 kmには、大沢山(標高1,112 m)がある。周辺の主要な山を以下に示す。
周辺の峠
- 位山峠 - 山頂の西南西2.7 km、船山と位山との鞍部。約1,095 m。岐阜県道98号宮萩原線が通る。位山峠から下呂市萩原町山之口への東山古道には、今でもわずかに石畳が残り中部北陸自然歩道 として整備されている。
- 苅安峠 - 山頂の北北西4.4 km、標高約900 m。岐阜県道98号宮萩原線が通る。
- 宮峠 - 山頂の北北東6.7 km、標高約800 m。国道41号が通る。日本海側と太平洋側との分水嶺。
源流の河川
木曽川水系の以下の飛騨川支流を源流となる山で、太平洋側の伊勢湾へ流れる。
- 牛牧谷 - 山頂の南東4.7 kmに夫婦滝がある。
- 初谷
- 無数河川 - 山頂の西2 kmに、1975年(昭和50年)の久々野防災ダムが建設され、アララギ湖ができた。周辺にアララギ湖キャンプ場とアララギ湖原生林公園がある。
交通・アクセス
東山麓の飛騨川沿いにJR東海の高山本線と国道41号通り、北山麓の無数河川沿いに岐阜県道455号段久々野線が通り、西山腹に岐阜県道98号宮萩原線が通る。北山腹に林道が通り、南山腹に山頂部の電波通信設備へ至る船山管理道路が通る。
- JR東海の高山本線久々野駅の南西4.6 kmに位置する。
- 中央自動車道中津川インターチェンジの北北西65 km、東海環状自動車道美濃加茂インターチェンジの北北東64 km、中部縦貫自動車道(高山清見道路)高山インターチェンジの南16 kmに位置する。
船山の風景と眺望
船山の風景
船山からの眺望
脚注
注釈
出典
参考文献
- 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
- 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
- 島田靖、堀井啓介『改訂版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂版〉、2009年12月。ISBN 9784635023702。
- 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年11月。ISBN 9784398757838。
- 吉野晴朗『ふるさとの富士200名山』東方出版、1996年8月。ISBN 488591499X。
関連項目
- ぎふ百山
- 飛騨高地
- 三山(位山三山)
- 郷土富士
外部リンク
- 地理院地図(電子国土Web)・船山 国土地理院




