ソケイ(素馨、学名:Jasminum grandiflorum)は、モクセイ科ソケイ属(素馨属)の植物の一種。落葉性の灌木である。ソケイ属の名前のもとになっている。オオバナソケイ(大花素馨)とも呼ばれる。
1762年にカール・フォン・リンネ『植物種誌』第2版にて記載された。英名は Spanish jasmine, royal jasmine、中国名は素馨、素馨花、素英、耶悉茗花、野悉蜜、玉芙蓉、素馨针などである。
特徴
植物は登攀性の低木で、1–4 m(メートル)の高さに成長する。
葉は5–12 cm の奇数羽状複葉になる。小葉は5–11枚で、卵状楕円形である。
花序は集散花序で、枝先や上部の葉腋につく。開花時期は7–11月、独特で甘い芳香を放つ。花は直径約3.5 cm(センチメートル)。花の長さは13–25 mm(ミリメートル) の筒状花冠で、色は白く、先は4–5裂し、平開する。花冠の裂片は 13–22 mm。雄蕊のうち、2本が花冠から少し突き出る。
分布
主に亜熱帯地域でよく生育する。自生分布は、アフリカ大陸のエリトリアからルワンダ、アラビア半島、パキスタンから中国の中南部までとされるが、中国の分布は移入によるともされる。南アジアのパキスタンでは、ソルトレンジとラワルピンディ地区の標高 500–1,500 m に自生している。
ヨーロッパへは古代ペルシャを通じて、日本へは中国を通じて伝わった。
亜種
以下の2亜種が認識されている。
- Jasminum grandiflorum L. subsp. grandiflorum
- Jasminum grandiflorum L. subsp. floribundum (R. Br. ex Fresen.) P. S. Green (1986)
基亜種の自生地はサウジアラビア(中央部、ヒジャーズ、アスィール)、オマーン(ドファール)、イエメン、パキスタン、ネパール、ブータン、インド(アルナーチャル・プラデーシュ州、アッサム州、グジャラート州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ジャンム・カシミール、マディヤ・プラデーシュ州、メーガーラヤ州、オリッサ州、ラージャスターン州、タミル・ナードゥ州、ウッタラーカンド州)、バングラデシュ、ミャンマーとされる。多くの国に移入されている。
亜種 J. g. ssp. floribundum の分布は、エジプト南東部、ルワンダ、スーダン、エチオピア、エリトリア、ソマリア、ウガンダ、ケニア、サウジアラビア、オマーンとされる。
利用
温帯から亜熱帯にかけて、庭木や観賞植物として広く栽培されている。
インドでは、葉がアーユルヴェーダの生薬などに広く使用されている。花は女性のヘアスタイルを飾るために利用される。花からとれる香油をジャスミンといい、香料として使用される。
語源
和名の「ソケイ」の語源は以下の2つが知られる。
- 中国、五代十国時代の劉隠、その侍女に素馨という名の少女がいて、死んだ彼女を葬った場所に素馨の花が咲き、いつまでも香りがあったという伝説が由来という説。
- 花の色が白く(素)、良い香り(馨)がする花という意を語源とする説。
脚注
参考文献
- 林弥栄 編『日本の樹木』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1985年9月1日。ISBN 4635090175。
関連項目
- インドソケイ(キョウチクトウ科)
- ソケイ属(ジャスミン)
- マツリカ
- ハゴロモジャスミン
- オウバイ
- オウバイモドキ
- シロモッコウ Jasminum officinale
外部リンク
- Jasminum grandiflorum L. - Plants of the World Online
- Jasminum grandiflorum L. - Global Biodiversity Information Facility
- Jasminum grandiflorum - World Plants




