労働者党(ろうどうしゃとう、ポルトガル語: Partido dos Trabalhadores 、略称:PT)は、ブラジルの左派政党。大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァの所属政党である。現在の党首(総裁)は、グレイシ・ホフマン。

概説

軍政下の1980年2月、様々な労働運動家や知識人が結集して結成され、1982年2月に正式な政党登録がなされた。規約では「民主的社会主義を建設することを目標としている」とした上で、「搾取、支配、抑圧、不平等、不正義、貧困を一掃するために闘う」と明記している。政治的には社会民主主義やマルクス主義、トロツキスト、キリスト教社会主義など、中道左派から極左までの幅広い政治勢力を結集している。また労働運動以外にも、環境保護や人権など多彩な分野の市民運動・社会運動活動家の参加もみられる。

PTの政党登録がなされたのと同じ年の11月に行われた国会議員選挙では党首のルーラは落選、下院で8議席を得るに留まった(得票率3.5%)。1988年の憲法改正により大統領直接選挙制が復活後、初めて行われた89年12月の大統領選挙では、ルーラが立候補したが決選投票でフェルナンド・コロール・デ・メロに敗れた(決選投票の得票率38%)。その後、1994年の議会選挙では前回(1990年)より得票と議席を大幅に増やしたが、同時に行われた大統領選挙ではフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(ブラジル社会民主党、略称:PSDB)に大差で敗れた。

1998年の大統領選挙でもルーラはカルドーゾ大統領に再び敗れたが、2002年10月の大統領選挙で6割余の得票を得て初の勝利を収めた。また同時に行われた国会議員選挙でも91議席を獲得し最大政党となった。そして、2006年10月の大統領選挙でもルーラが再選を果たし、PTは与党の座を維持した。この間、ルーラは貧困層向け家族手当「ボルサ・ファミリア」(Pragrama Bolsa Familia:PBF)の創設を柱とした社会政策を実施する一方、現実的な経済政策を採用し、ブラジル経済の成長を維持した。

2010年10月の大統領選挙では、ルーラ大統領の後継候補としてジルマ・ルセフ官房長官を擁立。決選投票でPSDBのジョゼ・セラ(サンパウロ州前知事)を抑えて勝利し、引き続き政権与党の座を維持。2014年10月の大統領選挙でもルセフ大統領が対立候補であるアネシア・ネベス(PSDB)を僅差で抑えて再選を果たし、ルーラ政権も含めると4期続けて政権与党の座を占めることになった。しかしルセフは弾劾訴追され2016年8月に失職、副大統領でブラジル民主運動党のミシェル・テメルが大統領となった。

選挙結果

大統領選挙

連邦議会選挙

文献解題

  • MENEGOZZO, Carlos Henrique Metidieri; KAREPOVS, Dainis; MACIEL, Aline Fernanda; SILVA, Patrícia Rodrigues da; CESAR, Rodrigo. Partido dos Trabalhadores: bibliografia comentada (1978-2002). São Paulo: Editora Fundação Perseu Abramo, 2013. 413 p.

脚注

参考文献

  • 『世界の議会12 南米・オセアニア』ぎょうせい
  • 松下洋・乗浩子編著『ラテンアメリカシリーズ① ラテンアメリカ政治と社会』新評論

外部リンク

  • Partido dos Trabalhadores(労働者党) 公式ホームページ
  • ブラジル史年表(「ラテンアメリカの政治」)の“ラテンアメリカ各国年表”)
    • ブラジル年表 その3
    • ブラジル年表 その4

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